シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 公開から週末を経たのでネタバレ込み感想

総合的な感想として。ネタバレを多大に含みます。


新世紀エヴァンゲリオンをTVリアタイで観始めてから26年とは、実に恐ろしい…そりゃおれも歳取るわ…。
1995年に世に出てから今まで様々な分野に展開し、収益を継続している化け物コンテンツ。

メイン声優も誰一人クォリティを落としていないのも凄い。
シンジは相変わらず少年だし、レイもアスカも少女の声だし。ミサトもリツコも老け込んでない。
ゲンドウも冬月もそのままだ。
ひょっとしてシンまでの完成年月を長く見積もって、前もって破~Qで14年経過させておいたのかな…。
でもシンまで更に実時間で間が空いてるから関係無いかー。

で、今回完結なので気合を入れて初日に仕事飛ばして行きました。
観劇中、とりあえず北斗の拳のカイオウ編、SWEP6/9的なものと、ちゃんと終わらせるからよ!っていう意気を感じつつ観てました。
理由として「戦闘力インフレ・異能バトル化」「壮大な親子喧嘩の決着」「大急ぎで人間関係空白補完再構築&世界観風呂敷畳みをバリバリやった」。
そして度々セリフとしても出てくるけど「落とし前をつける」演出がとても多かったから。

TV版・旧劇場版・新劇場版の全てで監督自身の想いは知る由など無いけど、視聴者の多くがやらかしたと感じた部分を積極的に落とし前をつけにきたのは驚いた。
・予算とスケジュールが足りなくなったあの時
・絵コンテ原画ラフ次回予告
・メタ演出
・皮肉(と感じられた)実写シーン
これらを逆手に取って演出に組み込んでくるとは…(良いとは思ってない 単に凄いと思った)。

また、結局どうなってんだよ!って部分を「比較的」具体で説明してきたのもエヴァにしては珍しい。
各々解釈があると思うので、自分のなんとなくは書かないけど、なるほどねと思ったのは以下らへん。
・「綾波レイ」とは
・「L」とは
・アスカが惣流から式波になったのは
・人類補完計画とは
・〇〇インパクトの意味と役割とは
・ゲンドウの心情

そして、シンゴジラからの流れかもしれないけど、「最後だからやりたい事もちょっとやらせてもらうぜ」をやってきましたね。
・アニメで「ちゃんと」ウルトラマンやる
艦隊戦(ヤマト)もやるぜ
・突撃戦のBGMにこれ使っちゃお

そしてそして、自分はZガンダムの劇場版とシンクロするのだけど、「ハッピーエンドを恥ずかしがらずにやりきる」
ここが、25年の歳月を経て…が感じられる一番の所かと思う。

未来文明世界は一度破壊されたけど、人間のたくましさで復興し、ネオンジェネシス「希望に満ちた世界」として再生する。
エヴァの世界観ビジュアルで重要且つ破壊の象徴だった「赤い海」は言われてみりゃとっくに無くなってた。

シンジは全てを受け入れ、トラウマ含め自分を取り巻く環境に対し積極的に関わり、父親と対話し、一人の青年として社会に溶け込んでいく。
これは安野モヨコと結婚、要は他人と人生を共有して他人を理解しようとしなかったら作れなかったエンディングでしょう。
「Zガンダムの終わりが暗すぎる」と嫁に言われた富野監督が、年齢を重ねて丸くなり、劇場版では正反対のウルトラハッピーエンドにした様に。

そして次回予告は当然無い。バチッと「終」で締め。視聴者、そして庵野秀明自身が囚われ続けていたであろう「エヴァの呪い」は、解呪された。
まあ観ても解呪されない人沢山居ると思うんだけど、とりあえず解呪の儀は行われた。この支配から脱するかどうかは自分次第。

タイトルの尻についている謎記号だけど、これは終わりと世界の反復両方を示唆していると思っていてですね。
この世界は終わったけど、終わった世界はまた復活するんだという感じ?
Qでカヲルの言った様な「行った事実は変えられない」「しかし償えない罪は無い」みたいな。

我ながらアホみたいな例えだけど「エヴァはこれで終わったけどエヴァを取り巻く環境はIPを取り扱う人間がいる限り終わってないので色んな可能性があるよ」という感じでしょうか。

旧劇の時みたいに「TV最終回を観たやつが感じた事がエヴァンゲリオンの終わりだし、それをお前らがどう思おうが知らんしそもそもおれの勝手なんだけどお前らと周りが色々うるせーからもうちょいやったるわ。所でそんなお前ら(かつ恐らく自分にも)に最後、言いたい事がある!」と捕れないストレート投げてきた時とはえらい違いだよほんと。

新劇で、人は人によって変われるっていうのを自身の体験を作品で反映してきたよな~。恐らく独身のままだったらこうまで開けた感じでは作れなかっただろうと想像する。
実際パンフレットの謝辞の最後が「ファン」宛では無く「妻」宛で結んであるしね。
安野モヨコの支えが無ければ、エヴァは改めて完結出来なかったのだろうね。

ともあれもう「終わらす気あんのか」「いつ出来るんだ」「シンゴジやってる暇あるならシンエヴァ」「ちゃんと風呂敷畳めるのか」…こんな事はもう言えないのです。
ま別に言えるんだけど、でも完結したしな~って。

ほっとしたし、そしてちょっと寂しくなり、そして「ようやく解放された」反動の疲れがどっと来た。
ほんとは劇場リピートしようと思ってたんだけど、終わりに物凄く納得いっちゃったんで、いいかな。円盤待ちます。
もっととんでもない終わり方っていうか、何も決着付けないではいおしまい!帰れ!みたいなの来てもおかしくないくらいの覚悟はしてたからね…。

エヴァは多分、前述の通りIPとしてはずっと終わらないだろうなのできっとガンダムUCみたいな展開可能性(種死とかオルフェンズの様な完全別世界線の方が可能性あるか?)も十分考えられるけど、今は抜け殻なのでしばらくそういうのはいいや…って感じ。

さて、この作品の宿命だと思うけど、「これは何で?」「これは不満」も当然出てくる訳で。

何で?①

冒頭のバトル、撃たれただけ、地面に叩きつけられただけで大爆発する使徒兵器。柔らかい。アンチATフィールド弾みたいなの使用とかそもそも使徒兵器がATフィールド劣化版みたいなのしか装備してないとかなんだろうか?

何で?②

改めてヴィレの資金源どこだよ。凄すぎだろ。科学力はリツコが居るからで何か納得出来ちゃうけど。各国政府直かな?国連はゼーレでしょ?
まあそれ言ったらネルフもたった2人で運営しててどうなの?

何で??③

なんで真ヒロインがマリなんだよ。そんな匂わせシーン一切無かっただろ。
奇跡が起こって初号機のコクピット守ってたレイが人間化するか、アスカと復縁か、サプライズ乗らんでくださいよか、若しくは誰ともくっつかないけどそれぞれの生き方死に方を全うしたからおk!で終わると思ってたら突然マリかよ!
何で「絶対に見つけてあげるから」とか急にシンジに肩入れバリバリのセリフ言い出すのかと思ったらそれが伏線なのかよ?
そもそもお前ユーロネルフのスパイだったんじゃねえのかよ。いやいやシンエヴァ時の実年齢よ。
ユイと完全同い歳だったとして、シンジが産まれたのがユイ24の時なので…。
24+14+14=52歳という事になるじゃん。それがプラグスーツ着て胸押しあてて14歳にちょっかいかけてる訳よ。普通に逮捕だろ!

何で?④

初号機だけメカ的なパワーアップしない。ロボとしては増加装甲とかちょっとしたリファインとか欲しかった。
対照的に好きな2号機(新劇では弐号機と記載しないのは何故…)が新しいビーストモードで超絶無茶変形するわ結局今回も自爆するわで切ない。

何で?⑤

冒頭にも書いたけどエヴァのバトルが異能バトルになっちゃって、熱い出撃~白兵戦をほぼやってくれないのが切ない。
TV版男の戦い=破でのクライマックスバトルはキャラの掛け合いと初号機がネルフの壁ブチ抜いて覚醒して使徒を激烈に圧倒する流れ、いつ観てもカッコ良すぎて滾るんだけどシンで全然やってくれなかった。

何で????⑥

…やっぱり納得いかないよ父さん!なんでマリが正ヒロインなんだよ!いきなりそんなルートに連れてこられて訳が分かんないよ…!そうなる理由のシーン追加してよ!

「漫画を読め 読んでいないのなら帰れ」

「チッ!これだから整合性を求める男は」

「漫画読みなさいよバカシンジ!」

「碇君、漫画」

「二度とアニメしか知らんて事だけは言わんでくださいよ!」

「簡単さ、君はこっちで漫画を読むだけでいいんだ」

…え…?漫画版全部読んでるけどそれのマリが前振りってあんなの何の匂わせにもなってなくて判る訳無いよッ…!ねえちゃんとした説明描写入れてよ!ミサトさん!

「あなたは漫画を読んで」

考えちゃダメだ考えちゃダメだ考えちゃダメだ…

マリ=実在の嫁投影キャラ については、まあそうなんだろうけど、それはそれでいいよ。監督=シンジでハーレム願望投影もいいじゃん。自分の作品なんだから好きにすればいいよ。
そんな事どうでもいい。気持ち悪いとも思わない。
とにかく他の事はまあまあ説明するのに、ラストシーンにも繋がる重要な真ヒロイン決定のくだりやってくれないのは、無いわ…。

自分にしては珍しく長文書いた。

まあいい。今回こそ真のおめでとうエンディングであったと思う。
長年楽しませてくれて、そして悩ませてくれてありがとうという所です。成仏した。

次はシン・ウルトラマンだよ。実はまだ終わってない。